2009年10月15日

心は世界に旅をする CHAPTER 3


前回は、KOKIAさんにフランスでの公演について語っていただきました。フランスの次に彼女たちが訪れた国はアイルランド。ダブリンに着いたらすぐにリハーサルという強行スケジュールをこなしつつ、この地での公演は、いつもより不安の多いものだったようです……。


会場前の大きなポスター。
――2つめの国はアイルランド。
「まず、移動がきつかった(笑)。朝早くフランスを出発して、ダブリンに着いたらそのままリハをやって、次の日は本番でしたから」
――体調的にもしんどいスケジュールですよね。リハーサルというのはアイルランドのバンド、パックフェアとの音合わせですよね?
「そうです。ホテルのバンケット・ルームで彼らとの初めてのリハーサルをやって――ライヴの前日に初めて会うバンドとリハをやること自体、日本ではありえないことですからね(笑)。そういう状況も込みで海外での経験を楽しむというか、すべてが挑戦だったんですよ、ヨーロッパでのツアーは。やるべきことをやっていくしかないですよね」
――リハーサルの手ごたえはどうだったんですか?
「それがじつは、かなり心配の残る状態で本番を迎えました。でも、あまりにも心配しすぎると、さらに悪い方向に転んじゃいますからね。“外国でライヴをやるっていうのは、こういうこともあるんだ”って思うしかなかったですよね」
――うーん、かなりタフな状況ですねえ。会場はライヴ・ハウスですか?
「そうです。テンプルバーっていう、ダブリンでも一番栄えている場所にあるライヴ・ハウス。わりと新しいところで、ホットなスポットだと思いますよ。ロック・バンドもよくライヴをやってるみたいだし」

アイルランドのバンド、バックフェアと。
――お客さんもすごく盛り上がってましたよね。
「うん、私も本番は楽しかったです。内容的にも、他の場所とは大分違ってたんですよね。KOKIAのワンマン・ライヴというよりも、“パックフェアがKOKIAをゲストに迎えた”っていう雰囲気で。彼らのお客さんも来ていたし、“初めまして、KOKIAです”っていう感じでした。トラディショナルやパックフェアの曲も演奏したライヴでしたし」
――アイリッシュ・トラッドを現地で演奏するというのは、どういう感じなんですか?
「楽しいですよ、すごく。アプローチがぜんぜん違うんですよね。和音にしても旋律にしても、“え、そっちに行くんだ?”っていう驚きがたくさんある。ステージの上で意外な方向に変化していく音楽っていうのかな、それがすごく面白いんですよね」
――日本では味わえない経験かもしれないですね。
「日本の場合、だいたい予想がつくんですよ。“え、そっち?!”みたいなことは少なくて、“やっぱりそう来るよね”っていう感じが多いんですよね。それは上手いとか下手っていうことではなくて、想定範囲内のことが多いって感じです」
――でも、アイリッシュ・バンドとセッションして、すぐに馴染める人っていうのも少ないと思いますよ。
「私はどこに行っても大丈夫です(笑)。多分。でも、それが出来なかったらミュージシャンとして辛いですよね」

アイルランドの観客を魅了。
――KOKIAさんって、もともとアイルランドは好きですよね。以前、“いきなり思い立って、アイルランドに行ってきました”って言ってましたし。
「それ、すっごい昔の話ですね(笑)。いろいろなインタビューで“KOKIAさんはアイルランドの音楽が好きなんですか?”って聞かれることがすごく多かったんです。それで、ひとり旅をしてみたいと思ったときに“インドとアイルランド、どっちに行こうかな”って迷って、“みんなによくアイルランドのことを聞かれるから、行ってみよう”って行ったこともありましたね」
――アイリッシュ・トラッドに似た手触りの楽曲がありますからね、KOKIAさんの作品には。
「よくそんな風に言われるんですけど、じつは自分では今でもよくわかっていないんですよ。“アイリッシュのメロディって何?”っていう。感じです。実際にアイルランドに行くようになってわかったんですけど、すごく難しいんですよ。彼らの血に記憶されているものですからね、あのリズムとメロディは。しかも、実際はすごく激しい音楽だし。簡単に真似できるようなものではないですね」

感動の一瞬!
――なるほど。コンサート以外で印象に残っていることはありますか?
「アイルランドはホテルのロケーションが素晴らしかった! 最高のビーチが目の前にあって、あれは束の間のご褒美だったなあ。あと、お風呂にもちゃんと浸かれたし(笑)」
――パリでは風呂に浸かれなかったんですか?
「そうなんですよ。体調管理のことを考えたとき、私にとってかなり大事なのはお風呂なんですよ。これは準備の段階から何度もお願いしたんですけど、ホテルの部屋にバスタブだけは付けてほしいって。ベストなステージにするための外せない条件だったんですけど、実際に行ってみると確かにバスタブはあるけど、“お湯は出ない”“栓がない”っていうことが続いて(笑)海外ではよくあることですけど、かなりへこみました」
――すごいなあ。“バスタブそのものはあるよ“っていうことですね。
「そうかもしれない。結局、パリの3日間はバスタブに浸かれなかったんですよ。ゆっくりお風呂に入ったのは、アイルランドが初めて。まあ、そのあとはまたかなり厳しい旅が続くんですけど……。女性だし、小綺麗にしておくのも仕事のうちじゃないですか? 集合時間にはちゃんと“KOKIA”になって登場するっていうのも、私のなかでは心がけていることなので」
――ステージの上だけじゃなくて?
「そう。たとえば朝7時に集合だったら、5時くらいからKOKIAになる準備をするんです。それは単に“人前ではお化粧をする”っていうことではなくて、お風呂に入って、身なりを綺麗にして、アイロンのかかった服に袖を通し、気持ちの良い状態で集合場所に現れる。そういうことは1日の始まりなわけですから、素敵なステージにするために必ず必要なことだと思うんです。ただ、ヨーロッパのツアーではKOKIAでいなくちゃいけない時間がいつもよりも長くて、そうしたことも今回のツアーがかなり大変だったところの1つですね」

アイルランドの海でたたずむKOKIAさん。
取材・文/森 朋之(2009年9月)

【KOKIAの魅力に迫る3つの質問】
毎回、更新ごとに3つのQ&Aを紹介していきます。今回は……。
★ご自身で分析する長所は?
A. 意外と真面目な部分かしら? 責任感が強いというか、仕事に対してかなりの前向きな向き合い方がいいなと思います。
★ご自身で分析する短所は?
A. 興味のないものに全く興味がわかないこと。例えば、数字。^^; 計算は大の苦手です。
★尊敬している人物は?
A. マザーテレサ。信念をもって何かをやり遂げる、貫き通している人に惹かれます。
【KOKIA LIVE DVD】
『WHEREVER I AM ?WORLD TOUR 2009 IN EUROPE?』
(VIBL-481/3 税込8,400円)
[収録内容]
【Disc.1】 START from Paris
【Disc.2】 GO around the countries
【Disc.3】 RETURN to my heart

【Winter Live Tour 2009「12月の贈り物」】
今年もクリスマスの近づいた12月にコンサートが決定。
オリジナル曲はもちろん、クリスマス・ナンバーや新曲も聴けてしまうかも!

12/11 (名古屋)名古屋市千種小劇場
開場18:00開演19:00 料金¥5000(全席指定)
一般プレイガイド発売 10/24            
お問い合わせ サンデーフォーク 052-320-9100 

12/13 (福岡)博多Gate's7
開場17:00開演18:00 料金¥5000(全自由 1D別)
一般プレイガイド発売 10/24            
お問い合わせ キョードー西日本 092-714-0159 

12/14 (広島)クラブ クアトロ
開場18:00開演19:00 料金¥5000(全席指定 1D別)
一般プレイガイド発売 10/24            
お問い合わせ ユニオン音楽事務所 082-247-6111 

12/15 (大阪)サンケイホール ブリーゼ
開場18:00開演19:00 料金¥6000(全席指定)
一般プレイガイド発売 10/24            
お問い合わせ Songs 06-6353-6601 

12/21 (仙台)バックページ
開場18:00開演19:00 料金¥5000(全自由 1D別)
一般プレイガイド発売 10/31             
お問い合わせ GIP 022-222-9999 

12/23.24 (横浜)横浜ランドマークホール
23 開場17:00開演18:00 料金¥6000(全席指定)
24 開場18:00開演19:00 料金¥6000(全席指定)
一般プレイガイド発売 10/24        
問い合わせ KMミュージック 045-201-9999

■オフィシャル・サイト:http://www.kokia.com/
■ビクターエンタテイメント:http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A012051.html

2009年10月1日

心は世界に旅をする CHAPTER 2


前回は、ライヴ&ドキュメンタリーDVD『Wherever I am ~ world tour 2009 in Europe ~』の全体像について、KOKIAさんにインタビューをしました。ここからは、フランス、アイルランド、ポーランド、ベルギー、ドイツとツアーで回った国々での思い出を振り返ってもらいます。今回は、フランス編をお送りします。
――フランスでのライヴは今回が4回目ですよね。KOKIAさんにとってはホームグラウンドみたいな感覚ですか?
 「ヨーロッパの中では完全にそうですね。DVDのなかで話してたかどうか忘れちゃったんですけど、これから自分のツアーがどんなふうに広がっていったとしても“パリから始まった”っていうのは忘れられないです」
――ヨーロッパでの活動をパリから始めたのは、何が理由だったんですか?
 「いや、特に理由はないんですよ(笑)。フランスの方から“コンサートをしませんか?”って言ってもらったのがきっかけだったので。ただ、パリ以外でもそうですけど、日本だったり日本の文化に興味を持っている人は非常に多いと感じています」
――今回のパリでのライヴは合計3回。
 「そうですね。コンサート・ホール、船上ライヴ、ライヴ・ハウスという3つの場所でやらせてもらったんですけど、3つの異なったシチュエーションに合わせて、ステージの雰囲気もセット・リストも洋服も、MCのテンションも毎回少しずつ変えるように心がけたので、そういう意味では、同じフランス内でのライヴでも、いろんなKOKIAを楽しんでもらえるんじゃないかなって思います。お客さんも楽しかったと思うけど――たぶん、3日間全部来てくださった人もいると思うので――やってる側もすごく楽しかったです」

フランス公演、最初の会場“LA CIGALE”。
開場前に並ぶファンの人たち。
――なるほど。まずは“LA CIGALE”というホールですが、ここは本当にキレイなところですね。
 「キレイですよねー。何て言うか、すごく歴史を感じられる場所なんですよね。以前からフランスの人たちに“LA CIGALEは伝統のあるホールだから、あそこでコンサートがやれるのはすごいことなんだよ”っていうことを聞いていて。今回ようやく実現したから、すごく楽しみだったんですよね」

お客さん、総立ち!
――しかも、今回のツアーのなかでは唯一のフル・バンドによるライヴですからね。
 「これまでの4年間の(ヨーロッパ・ツアーでの)歴史を振り返ってみても、4人のメンバーを携えてのライヴは今回は初めてでした。日本でやっているステージに近いものを見せることができたのは、とてもいいことだと思いますね。私のライヴを観たことがあるお客さんに対しても“今までとは違うでしょう”というものを提示できたんじゃないかなって。ただ、私のなかではどのライヴも同じなんですけどね。ギター1本のライヴでも弾き語りでも、歌うときの気持ちはまったく変わらないというか、バンドの編成が変わっても、歌の力は常に同じなんです」
――でも、ツアーの初日っていう緊張感はあったんじゃないですか?
 「緊張が完全になくなることは、たぶんないと思うんです。ただ、“これはステージ前のいい塩梅”って思えるくらいにはなりたいなって。緊張が変なふうに転ばないように、自分の気持ちをコントロールするというか、今回は上手くいったんじゃないかな」

公演終了後、バンド・メンバーと記念撮影。
――2日目の船上ライヴもかなりスペシャルな企画ですよね。
 「そうですよね。しかもセーヌ川ですから、私もかなりテンションが上がってました。だって、普通のホールとかで綺麗な風景を映そうと思ったら、ものすごく大変じゃないですか。でも船の上でライヴをやってると、どんどん風景が変わっていくんですよ! エッフェル塔も見えたし、ホントにばっちりのロケーションでした。“船の上でライヴをしてみませんか?”っていう、フランスの方からのご提案なんですけどね」

2ヵ所目の公演は、船上!
――DVDを観ていても、観光客気分で楽しめました(笑)。
 「ロマンティックですよね。気付いたかもしれないけど、後ろの方に座ってるカップルのお客さんが……」
――キスしてましたね。
 「そう! フランスに限らず、どこの国でもラブリーな雰囲気で聴いてくれてるお客さんがいて。あれはステージから見てても、すごく微笑ましいんですよ。“幸せそうだな”って。もともとKOKIAのライヴって、カップル率が高いんですけどね」
――KOKIAさんもバカンス気分になれました?
 「いや、ぜんぜんでした。とにかく体調管理のことで頭がいっぱいで、最後まで無事に終えることだけを考えてたので。かなりピリピリしてたんですよ、じつは」
――そんなふうには見えなかったですけどね。じゃあ、観光っぽいことも……。
 「まったくない(笑)。撮影のためにホテルの前に出たり、ちょっと海岸に行ったくらいかな。他のみんなは世界遺産を見に行ったりもしてたけど、私はそういうスペシャルは何も見てないです」
――楽しみは食事くらい?
 「といっても、ステージが終わるまでは、ほぼ何も食べないんですけどね。あっちはライヴが始まるのが遅いので、毎日ライヴが終わるまで、めちゃくちゃお腹が空いてました(笑)。そのぶん、夜は人の2倍くらい食べてましたけど……。何ていうか、毎日のように試合をしているスポーツ選手みたいな感じですよね。コンサート以外のことは何も考えず、とにかく規則正しく過ごすっていう」

絶好のシチュエーションで歌を届けるKOKIAさん。
――ストイックな生活だったと。3日目のライヴ・ハウスはどうだったんですか?
 「じつはあまり調子が良くなかったんです。DVDの映像にも咳をしているところが度々映ってるんですけど、どうやらアレルギーが出てしまったみたいで。楽屋にいると苦しくなるみたいだったから、1部と2部の間は楽屋に戻らず、客席で演奏を聴いてました」
――でも、ライヴ自体はいい雰囲気だったのでは?
 「そうですね、ライヴはパリの3日間のなかでも一番よかったかもしれない。たぶん、“明日からは別の国に行く”っていう区切りの日だったことも関係してるんじゃないかな。'パリのみんな、ありがとう。明日からもがんばるよー!'みたいな(笑)」
取材・文/森 朋之(2009年9月)

【KOKIAの魅力に迫る3つの質問】
毎回、更新ごとに3つのQ&Aを紹介していきます。今回は……。
★歌手になりたいと思った動機は?
A. 実はそんなにないんです。気がつけば歌手になっていました。なんか自然に流れついたという感じです。
★歌うことについての信念は?
A. 心をこめること。そして歌う人であることに自信と誇りをもつこと。
★好きな言葉は?
A. おいしい~。きもちい~。きれい! すごい! そしてありがとう。かな^^
【KOKIA LIVE DVD】
『WHEREVER I AM ~ WORLD TOUR 2009 IN EUROPE ~』
(VIBL-481/3 税込8,400円)
[収録内容]
【Disc.1】 START from Paris 
【Disc.2】 GO around the countries
【Disc.3】 RETURN to my heart 

【Winter Live Tour 2009「12月の贈り物」】
今年もクリスマスの近づいた12月にコンサートが決定。
オリジナル曲はもちろん、クリスマス・ナンバーや新曲も聴けてしまうかも!

12/11 (名古屋)名古屋市千種小劇場
開場18:00開演19:00 料金¥5000(全席指定)
一般プレイガイド発売 10/24            
お問い合わせ サンデーフォーク 052-320-9100  

12/13 (福岡)博多Gate's7
開場17:00開演18:00 料金¥5000(全自由 1D別)
一般プレイガイド発売 10/24            
お問い合わせ キョードー西日本 092-714-0159  

12/14 (広島)クラブ クアトロ
開場18:00開演19:00 料金¥5000(全席指定 1D別)
一般プレイガイド発売 10/24            
お問い合わせ ユニオン音楽事務所 082-247-6111 

12/15 (大阪)サンケイホール ブリーゼ
開場18:00開演19:00 料金¥6000(全席指定)
一般プレイガイド発売 10/24            
お問い合わせ Songs 06-6353-6601  

12/21 (仙台)バックページ
開場18:00開演19:00 料金¥5000(全自由 1D別)
一般プレイガイド発売 10/31             
お問い合わせ GIP 022-222-9999  

12/23.24 (横浜)横浜ランドマークホール
23 開場17:00開演18:00 料金¥6000(全席指定)
24 開場18:00開演19:00 料金¥6000(全席指定)
一般プレイガイド発売 10/24        
問い合わせ KMミュージック 045-201-9999

■オフィシャル・サイト:http://www.kokia.com/
■ビクターエンタテイメント:http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A012051.html

2009年9月17日

心は世界に旅をする Chapter 1


KOKIAがヨーロッパでコンサートを行なうようになったのは、2006年のこと。4年目を迎えた今年は前年までのフランス、ベルギーに加え、アイルランド、ポーランド、ドイツを加えた5ヵ国を回るというかなり規模の大きいツアーが実現した。その模様を収録したライヴ&ドキュメンタリー作品が『Wherever I am?world tour 2009 in Europe』である。今回はツアーの全体像について、彼女に話を聞いた。
 「どんなプロジェクトでも“これは3年で達成しよう”“これは2年で”と期限を区切るのが私のやり方なんですが、ヨーロッパ・ツアーの場合は5年計画だと思ってがんばってきました。まずは5年間、頑張って、ヨーロッパで活動するうえでの形式を作ろう、と。1年目、2年目あたりは“種蒔き”の時期だったと思うんですけど、4年目でやっと“この苗はもう、よほどのことがないと枯れない。手入れをすれば、もっともっと根を張ってくれる”という手ごたえがありましたね。顔見知りのお客さんも増えたんですよ。いつもライヴに足を運んでくれるスイスの男の子とか、カンヌから来てくれる女の子たちとか、ロンドンから来てるおじさまとか」
この映像作品から伝わってくるのは、彼女の音楽がヨーロッパにおいて、しっかりと浸透しつつあるという事実だ。ここ数年、日本のバンド/アーティストが海外で人気を得る例はかなり多いが、アニメーションとのコラボレーションなどに頼ることなく、純粋に音楽の力によって評価を得ているケースは本当に稀だと思う。じつはKOKIAは幼い頃から“日本だけではなく、いろんな国で歌いたい”という思いを抱いていたという。
「ヨーロッパでツアーがやりたいというだけではなくて、アメリカでもアフリカ大陸でも、日本にとどまらず歌を届けたいっていう思いはずっとありました。“KOKIAというシンガーはどういうシチュエーションで輝くんだろう?”ということを客観的に考えてみると、“愛をテーマにして、声の力で人に感動してもらいたい”というところに辿り着くんです。それはきっと、日本だけに限ったことではないだろうなって。このDVDを観ていると、自分でも“何ていい顔をして歌ってるんだろう”って思う瞬間があるんですよ。そんな幸せそうな自分の姿を見ていると、“ここで歌うことは間違いじゃないだ”って実感できるんですよね」
彼女の存在がヨーロッパで受け入れられている理由。その一つに豊かな音楽性があることは言うまでもないだろう。高校、大学を通して声楽を学んでいた彼女の音楽にクラシックの要素が含まれていることは間違いない。さらに彼女の旋律にはヨーロッパのフォークロアにも似た響きがあり、それもまた現地の人々の心を惹き付けるのではないだろうか。
「たぶん、ヨーロッパの雰囲気に合う曲もあるんだろうなとは思いますね。でも、アフリカに行ってもアメリカに行っても、同じことが言えると思うんですよ。私はいろんなタイプの曲を書きますけど、以前はそのせいで“何がやりたいのかはわからない”って言われることもあって、ずっと悩んでたんです。“ひとつに決めないといけないの?”って……。でも、そうやって幅広い曲を書いてきたからこそ、どこにいっても馴染めるのかもしれないですよね。J-POPという枠の中で納まることを窮屈に感じたら、外に出るしかないじゃないですか?! 以前、ニューヨークでゴスペルの人たちとセッションしたときも、スッと馴染んじゃったし(笑)。音楽だったら、どこの国でも通じる。それが私の強みだと思います」

音楽的な成熟、ヨーロッパにおける知名度の向上。さまざまな好条件が重なって実現した今回のヨーロッパ・ツアーだが、この旅は彼女にとって、肉体的にも精神的にも相当な負担を強いられる、かなりタフなものでもあった。DVDのなかで彼女が語った「健康でステージに立てる。それだけで幸せ」という言葉が、そのことを象徴していると思う。
「じつは去年、少し体調を崩したんですよ。一時期は“もう歌えないかもしれない”とまで思ったし、それは大きな不安としていまも残ってて。だから今回のツアーでも、体調管理にはすごく気を遣ってましたね。でも、それはいいことでもあると思うんです。いつ何があるかわからないと思えば、その日のステージに感謝できるし、心を込めて歌おうという気持ちも強くなるので。まあ、本番になったら集中しているので体調のことなんかぜんぜん考えないで、100%で歌っちゃうんですけどね(笑)。お客さんに“KOKIAの魅力って?”って聞いてみると(DVDには現地のオーディエンスへのインタビューも収録されている)“声がいい”っていう意見が圧倒的に多いんです。だから、いつも万全の状態でステージに立ちたいなって……。逆に言うと、声が出るっていうだけで何でも伝えられると思うんですよね」
また、ライヴ・パフォーマンスの模様だけではなく、バック・ステージでの様子、移動中のオフ・ショットなどがたっぷり収録されているのも、この作品の魅力だろう。
「ホントにズーッとカメラを回してましたからね。それこそ“お手洗いとか以外は、全部撮ってるんじゃないか?”ってくらい(笑)。でも、思ったほど気にならなかったですね。“1回1回のステージを大事にしたい”っていう気持ちが高まってるから、“カメラを気にしてる場合じゃない!”って。今までのライヴDVDは歌ってるところがメインだったから、これだけオフの映像が入ってるのは初めて。“今のKOKIA”の全部が観られると思いますよ」
取材・文/森 朋之(2009年9月)
【KOKIAの魅力に迫る3つの質問】
毎回、更新ごとに3つのQ&Aを紹介していきます。今回は……。
★好きな色は何色ですか?
A. 色……色はいっぱいあります。藤色。やまぶき色。ゴールドにこげ茶。身にまとうのに好きな色と、身を置くのに好きな色だと違ってくるので、本当にいっぱい。眺めるのに好きな色も違うし……。それくらい、色は私にとってとても大事なアイテムです。
★好きな本は?
A. ほん……これはなかなか難しい質問です。あまり本を読まないので。
自分を奮い立たせるために、今は岡本太郎さんの関係の本にはまっています。
★好きな映画は?
A. これはたくさんありますよ。私の映画好きはかなりのもの。詳しいというよりは、とにかく観ているという感じ。いくつかなんて絞れないけれど、今ふと浮かんだのは、『君に読む物語』『Out of Africa』。
【KOKIA LIVE DVD】
『WHEREVER I AM ~WORLD TOUR 2009 IN EUROPE~』
(VIBL-481/3 税込8,400円)
[収録内容]
【Disc.1】 START from Paris
【Disc.2】 GO around the countries
【Disc.3】 RETURN to my heart

■オフィシャル・サイト:http://www.kokia.com/
■ビクターエンタテイメント:http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A012051.html