2009年12月10日

心は世界に旅をする CHAPTER 7


 本連載ではKOKIAさんのヨーロッパ・ツアーを振り返ってきましたが、今回が最終回。ここでは、ツアーを終えたKOKIAさんの帰国後の動向について話を訊きました。さらに、KOKIAさんから読者の方々へのメッセージもお楽しみください。
――4年目を迎えたヨーロッパ・ツアーは、「ヨーロッパでの種蒔きも少しずつ形になってきました」とコメントされてましたが、このあとの展開も見えてきたんじゃないですか?
 「種蒔きはぜんぜん終わりじゃないんですけど、一段落した感はありますね。でも、種はやっぱり毎年蒔かなくちゃダメだと思っているので。ただ、“しっかり手入れをしていければ、この先も枯れ果ててしまうようなことはないだろうな”という実感はありましたね」
――それはDVDの映像からも伝わってきました。パリはもちろん、初めての場所でもKOKIAさんの音楽がしっかり浸透していて。
 「いままでは1年に1回行ってたんですけど、たとえば1年半に1回とか、2年に1度というふうにもう少しタームを開けていっても大丈夫なんじゃないかなって思っているところはありますね。日本での活動ももっともっとしっかりとやっていきたいと思っているし……。あと、無理してツアーというかたちを取らなくてもいいのかなって思いました。もちろん、各国のタイミングがあえばツアーという形の方が効率はいいけれど、がっつりとスケジュールをそれだけに取られてしまうので、難しい点もありますね。例えば、大阪や北海道といった距離の離れた別々の場所から“ライヴをしてください”っていうお話があったとき、時期が離れていれば、別々のライヴとして考えるじゃないですか。ヨーロッパだからって、“行くからには、ちゃんとしたツアーに……”って考えるんじゃなくて、1本1本やっていくっていうスタイルでもいいと思っています。現在、すでにポーランドからオファーをもらっているんですけど、実際に行なうことになったら、ツアーという形でなくても、ポーランドだけでライヴをやってもいいわけですよね」
――日本だから、ヨーロッパだからっていうことではなく、同じようなスタンスで捉えられるようになってきたのかも。
 「そういう感じも少しずつあるのかもしれません。世界基準で考えることは、結構心がけていることです。だって、日本の音楽業界はいろんな意味でかなり特殊ですから、ここだけの頭で物事を考えるのはよくないと思っています。最近よく思うんですけど、アイルランドのミュージシャンとアルバムを作った経験がすごく活きてると思うんですよ。今回のツアーでも共演したパックフェアのショーンとは日々連絡を取り合っていて、いろんなことを教えてくれるんです。ヨーロッパのフェスにKOKIAを推薦してくれたり」
――ミュージシャン同士の繋がりは大きいですよね。
 「そうなんですよね。日本の音楽業界だけで活動していたら、きっと見えなかったところもあったと思います。日本の音楽業界が悪いって言ってるわけではないんです。いいところもたくさんあると思うけど、世界との接点を持たないと気付けなかった部分は絶対にあったと思います。それに、私のように日本以外の国、海外でも歌ってゆきたいと夢みている人にとっては世界とつながりを持ち続けるということは、とても大事です」
――他の国の状況を知らないと、比較もできないですからね。
 「そうですね。もちろん、海外でライヴをやると大変なこともたくさんあるんですけどね。時間通りに進まらなかったり、頼んだ機材が届かなかったり(笑)。でも、細かいところは気にしないっていうのも大事だったりするんですよ。特に私がやってる音楽って、クラシックやオペラとは違って、決して教本どおりではなくてもいいんですよね。それが音楽の醍醐味だと思うし」
――うん、そうですね。
 「そのことも改めて感じました、今回のツアーを通して。私がヨーロッパでライヴをやるっていうのは、国と国、文化と文化がぶつかることもあって。そこから新しいものが生まれることもすごく多いんですよ。それは実際にやってみないとわからないですからね」
――今後の展開についても少し教えてください。まず、11月18日に配信限定シングル第2弾「single mother/クリスマスの響き」がありますね。
 「〈single mother〉は私にとっても、すごく大事な曲です。かれこれ10年くらい前から母への想いというテーマで曲を書いていたんですけど、なかなか“これだ!”という自分の想いを表現しきれている曲が生まれませんでした。そんな中、時間も経ち、今回の配信企画〈命のうたライフトリロジー〉のテーマの中でピアノに向った時、自然に誰にでもある母と子の関係をもう一度歌にしたいなと思い、この曲が生まれました。きっと今の歳になったから言葉の1つ1つが心にしっかりと響く歌になったのだと思っています」
――そして、12月2日にはベスト・アルバム『Coquillage〜The Best Collection II』もリリース。
 「この4年の間にリリースした曲のなかから選んだベストです。今回は“ベスト”という括りのほかに、“体のなかから美しくなりましょ。”というコンセプトを掲げました。ジャケットのデザイン(ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』を使用)もそうしたコンセプトのもと使用することに決めました」
――体の中から美しくなる音楽?
 「これはずっと前から考えてることなんですけど、たとえば食べ物だったら、より安全なもの、無農薬のものにこだわっている方はたくさんいらっしゃいますよね。でも、音楽にはさほど気を遣っていないんじゃないかなって思うことがよくあります。うまく言えないんですけど、音も体に影響を与えると思うんですよ。やさしい気持ちになりたいとか、浄化されたいとか、そのときの気分や目的に合わせて、ちゃんと音楽を選んでほしいなって。私自身、そういう音楽が好きだし、自分の音楽もみんなにとってそういう存在であってほしいなと思うので」
取材・文/森 朋之(2009年10月)
KOKIA Special Essay
「心は世界に旅をする」〜KOKIA


 初めにこのCDジャーナル・ドットコムの連載を毎回楽しみに読んでくださった皆様、ありがとうございました。今回、最終回ということで私自身の文章で、この連載企画を終えたいと思います。この連載では「心は世界に旅をする」というテーマで2009年6月に行なわれた私のヨーロッパ・ツアーのことを中心に音楽のお話をしてきました。あれから少し時間が経った今、強く思うことがあります。それは、「音楽は自由の翼を広げ、遠くの誰かを近くに感じることができる」ということです。

 私は仕事で日本はもちろん、世界中のいろいろなところに足を運ぶ機会があります。そうしたところでの出逢いの全ては私の紡ぐ音には大事な要素です。人はもちろん、風景や食べ物、色との出逢い。そんな素晴らしい出逢いの中から生まれる音楽は、言葉や日常の壁を遥かに越えた心の旅にいつでも連れて行ってくれます。

 時に、日常の中で聴く音楽は非日常へといざなってくれるものであってほしいものです。例えばそれは未来への旅である時もあるでしょう。空想の世界であるかもしれません。地球の反対側に行くこともあれば、愛する人の住む街を感じるものである時もあるでしょう。

 この世の中に溢れる全ての生き物の音波(波長)に心の耳をとぎすましながら、それぞれが発信するメッセージを音の中に残してゆく。そんな風に、この時代の声を音の中に遺してゆけたらいいなぁと思っています。

 これからも音の旅人の旅は続いてゆきます。ふいに心の旅に出たくなった時、KOKIAの歌を聴いてみてください。目を閉じればきっと素敵な場所に連れて行ってくれることでしょう。そうして旅が終わる頃、ありきたりな日常の中に微笑む幸せがあることに気付くことができるかもしれません。

KOKIA.
KOKIAベスト・アルバムの第2弾
『Coquillage 〜The Best CollectionII〜』が好評発売中!

 2006年以降の作品から選りすぐりの名曲をセレクト。初回限定盤には、代表曲「ありがとう…(the Coquillage edition)」と、昨年末NYでフリー配布されたCD『MUSIC GIFT』に収められていた「心のロウソク」(英語バージョン)の2曲が収録されたスペシャルCDも付きます!


配信シングル3部作〈Life Trilogy〜いのちの3部作〜〉第2章が配信中!
 大好評の配信限定シングル3部作・第2章「single mother/クリスマスの響き」が、11月18日に配信スタートしました! お互いにかけがえのない存在である母と子の絆を、私小説のようなリアリティで描いた「single mother」、聖なる夜に、世界中の人々の心の安息を祈る「クリスマスの響き」、恒例の洋楽曲カヴァーは、喜劇王チャップリン自らが映画『モダンタイムス』の主題歌として作り、マイケル・ジャクソンが生前最も愛したといわれる「Smile」、そして、犬好きの人は必聴!? チャーミングな遊び心が楽しい「白い犬と踊る夜」と全4曲すべて新録。クリスマス・シーズンにぴったりの作品です。

【Winter Live Tour 2009「12月の贈り物」】
今年もクリスマスの近づいた12月にコンサートが決定。
オリジナル曲はもちろん、クリスマス・ナンバーや新曲も聴けてしまうかも!

12/11 (名古屋)名古屋市千種小劇場
開場18:00開演19:00 料金¥5000(全席指定)
一般プレイガイド発売 10/24
お問い合わせ サンデーフォーク 052-320-9100  

12/13 (福岡)博多Gate's7
開場17:00開演18:00 料金¥5000(全自由 1D別)
一般プレイガイド発売 10/24 
お問い合わせ キョードー西日本 092-714-0159  

12/14 (広島)クラブ クアトロ
開場18:00開演19:00 料金¥5000(全席指定 1D別)
一般プレイガイド発売 10/24
お問い合わせ ユニオン音楽事務所 082-247-6111 

12/15 (大阪)サンケイホール ブリーゼ
開場18:00開演19:00 料金¥6000(全席指定)
一般プレイガイド発売 10/24 
お問い合わせ Songs 06-6353-6601

12/21 (仙台)バックページ
開場18:00開演19:00 料金¥5000(全自由 1D別)
一般プレイガイド発売 10/31
お問い合わせ GIP 022-222-9999  

12/23.24 (横浜)横浜ランドマークホール
23 開場17:00開演18:00 料金¥6000(全席指定)
24 開場18:00開演19:00 料金¥6000(全席指定)
一般プレイガイド発売 10/24
問い合わせ KMミュージック 045-201-9999

【12月25日(金) 京都文化博物館 別館ホール 決定!】
2009年12月25日(金) 京都文化博物館別館ホール 
KOKIA「心の灯りライブvol.2 in KYOTO」 
チケット一般販売のお知らせです。 

昨年12月26日に開催し好評を博した「心の灯りライブ」 
皆様のお声に応えて今年も開催致します。 
一年の締めくくりをKOKIAとご一緒しませんか?
詳しくはオフィシャルHPをご覧下さい。
http://www.kokia.com/20/2010/1225vol2_in_kyoto.html

■オフィシャル・サイト:http://www.kokia.com/
■ビクターエンタテイメント:http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A012051.html

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